「憎い人はいる…?」

何処からやってきたのだろう。
ブラインドの閉じられたこの暗い部屋には先程まで私しかいなかったというのに。
少年が私と向かい合って立っていた。
この少年というのがまた不思議な格好をしている…。
「道化か」
少年が笑った。
「とてもとても憎いんでしょ…憎い人がいるんでしょ」
「いるさ。あぁいるさ。あいつが憎い」
「憎い?」
「あいつがいなければ私が上に立てたと言うのに」
「…そう」
少年は口に手を当てまた笑う。
私は聞いた。
「そんなことを聞いてどうするのだ」
「ぼくは道化。人の楽しませるために、滑稽な振りも、喜劇も」
「あいつを消してくれるのか」
「君が望むのなら」
「あぁ望んでいる。あいつさえいなければ。あいつさえいなければ」
私は叫んだ。

「いなくなってしまえば良いんだ!!」

すると、少年が声を上げて笑い出した。
「ウフフ、アハハ!…だけどもっと良い方法があるよ!」
それは…?
私は口を開こうとしたが
「君がいなくなっちゃえば良い!」
少年は何処までも無邪気に笑っていた。
そんな、そんな…、言葉を繋げられなかった。
私は最初から騙されていたのか。
あぁ、あいつの望みか。
あいつのせいか。
私を追い詰めそして命を奪うと。
ああ嫌だ

消えたくない



私は高みを目指すのだ

消えたくない


消えたくない


消え



たく

























にやり「憎い人消えて欲しい人が沢山いるなら、僕が消えればいいじゃない」
ラジェ「憎い人消えて欲しい人が沢山いるなら、君が消えればいいじゃない」

ぼうし「もういやだこの厨房たち」
ヴィルヘルム「お前もだ八段キラーめが」

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